高利回り債券を買って「分配金額=毎月の支出」なら逃げ切れるんじゃないか?という甘い罠

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家計を圧縮して、なんとか働かずに済む方法は無いものかなと思う日々ですが。

以前、こんな事を考えた事があります。

全財産を米国のETFで優先株(PFF)やハイイールド債(HYG)買って年6%平均の利回りになるなら年XX万入るぞ、資産をそのくらいまで貯めれば逃げ切れるんじゃないか?

しかし、問題があるんです。

この考えで問題がなければ、私が今やっているような企業分析に時間をかけたり、売買手数料を支払ってまで株の売買をする必要がなくて楽ちんなんですけどねぇ。。

なお、話を進めていくにあたって、ややこしくなるので以下の前提とします。

 前提.年6%の利回りが続き、特別分配と言われる投資元本を切り崩すタコ足配当は無いものとします。(金利・インフレ率次第で多少債券利回りが上下しますが、債券利回りが上がると元本の利回りの低い債券は安くなるのでそのあたりは平衡するという想定です。。)

さて、わかりやすい計算例として2千万円を投資に全力で向けたとして、2千万 × 6% だと、年間手取りは120万円になる?

これだと月10万円の私の生活にぴったりではないですか。

なんだ、簡単にいけると思うかもしれません。

しかし。。

そんな美味しい話はなくて、この配当に対して税金が米国で10%,日本で20%かかります。

すると、収入の月10万円が月7.2万円まで目減りします(注:×0.9してそれに×0.8なので)


低所得だろうと、税金はガッツリ抜かれるんです。(基礎控除は戻るとか、日本の債券なら配当控除が・・・とかゴチャゴチャした話は今回考慮外としておきます。)

だいぶ、生活するには厳しい金額になってきました。

家賃の安い田舎に行って引きこもれば、月7万程度でもなんとか…生きていけなくはないです。

もう一つの問題がなければです。

さて、もう一つの問題について話を進めます。

よく銀行の金利が高ければ金利だけで永遠に食べていけると錯覚するアレです。

投資の知識がある人はもう答えはわかりきっているかもしれませんが。

そう、インフレです。

日米ともに2%程度のインフレを見込んでいます。

政府がお金を多く刷って、銀行に資金を供給したり、公共事業という形で民間部門にばら撒けばお金がだぶついてお金の価値が希釈していきます。

日本はインフレの逆のデフレだと言われていますが、今の目標インフレ率が2%程度なので最終的にそのあたりに落ち着くと思います。
米国も今は2%程度のインフレ見通しです。過去はもう少し高い3~%の時期もありました。(日本もバブルの時期はインフレでした。気になる人は各自調べてみて下さい。)

つまり、毎年元本がインフレで徐々に実質的に減っていくということになります。

たとえば、現時点で月7万円程度を受け取れる状態でギリギリリタイアしたとしましょう。
毎年インフレで2%ずつお金の価値が低下した場合、毎月7万円という受取金額は変わらなくても、物の値段は2%複利で増えていくので下の表に示すように20年後には4.6万円程度の購買力になり、当初の想定した生活水準が維持できなくなります。

もっとわかりやすく言い換えると、今の物価を100とするとインフレ率2%が20年続いた場合は物価は148まで上がる(表の値下がり率の逆)ので、100円で買えていたものが148円で買える状態になると考えて下さい。
消費税増税後の値上げのようにジリジリと商品の値段が上がったり、量が減ったりという状態になっていきます。

上の表だと、インフレ率が5%だと20年で1/3近くまで購買力が低下していますね。

なぜ、そんなことになるのかというと、政府は国債を随分発行しているのですが、
インフレをすると実質的な借金額を減らすことが出来るというのが大きなメリットです。
例えば毎年5%のインフレにできれば20年後には75%程度借金を希釈出来ます。(上表)

インフレさせちゃえば、増税しなくても借金返せてしまうんです。


社会保障もインフレ連動で確実に値上げしていければいいのでしょうけど、金額は保証しても、実質は減る可能性があると思います。

株の場合は、企業がインフレにしたがってサービスや商品の価格を値上げをしていくので、企業の利益はインフレを吸収できる可能性が高く、インフレ対策には債券よりも株を持つのが良いということになります。

あと、不動産でもインフレに対して同様の効果はあります。

ちょっと暗い話をしましたが、インフレを意識していないで債券利回りで暮らそうとか、現金で溜め込むと実質的な元本はどんどん腐っていくので気をつけて下さい。

リタイア後にインフレの影響を吸収するために株・不動産を資産に組み込むべし、ということになります。

そんなことは知っているという方が多そうですが、知らないと悲劇になるので書いてみました。

私も30才くらいに本格的に投資の勉強をするまでインフレなんて全然意識してませんでした

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『高利回り債券を買って「分配金額=毎月の支出」なら逃げ切れるんじゃないか?という甘い罠』へのコメント

  1. 名前:招き猫の右手 投稿日:2017/09/16(土) at 22:50:21 ID:56000fcb8 返信

    実質と名目の違いを理解してない人って案外いるんですよね。
    僕もやはり実質ベースで、インフレにしっかり追従してくれる株式をメインに資産を持っています。
    株はリスクはありますが、この点では最も高性能ですもんね。

    • 名前:namake_taio 投稿日:2017/09/17(日) at 11:40:02 ID:37ec2baa8 返信

      招き猫の右手 さん

      実質と名目の違いを理解している人って日本人の半分、もしかすると四分の一もいないんじゃないですかね。
      昔は金利が良かったとか、そういう勘違いを散見するので。

      株は生産設備を持っていると考えるか、値動きのギャンブル対象を持っていると考えるか、この2択も日本人の半分以上は後者だと思っていそうです(汗)

  2. 名前:クラビ 投稿日:2017/09/17(日) at 21:18:16 ID:634505de6 返信

    物価調整後の実質金利でも、今の債権の金利水準は国内海外共にかなりお寒い状況だと思います。昔というのが90年代00年代のことを指しているのであれば、昔は良かったというのもあながち間違いでもないかと。
    理屈では株が一番高性能というのは分かってはいるんですが、いくらなんでも今は過熱しすぎでは、という怖さがあるんですよね。

    • 名前:namake_taio 投稿日:2017/09/17(日) at 21:32:59 ID:8d00bff77 返信

      クラビ さん

      そうですね。
      中央銀行が国債等を買い入れて投資(株、不動産)に向かわせているので、
      債券、株ともに過去の物価調整後のリターン水準より割高な水準なのではと思います。
      日銀の買いで日本の株式市場の高値維持に一役買ってますしね。
      この状況で割安株だけ買ってますが、インデックスはとても買う気にならないです。

      数年程度の見通しで考えるなら現金をある程度持っておいて、今後の欧州、米国の金利上昇による下落相場を待つ作戦も考えてしまいますね。

  3. 名前:たいが 投稿日:2017/09/17(日) at 23:36:48 ID:9e4bae9ca 返信

    こんばんは。
    まあ、アメリカ税金分は稼ぎがすくなければ、一部は返ってくるんですけどね。
    みんなめんどうで申告してないかもしれません。(自分もです)。
    国内税金はNISAでっていう方法が一番あれなんですけど、
    五年で切られてしまうのが、ちょっと問題ですね。

    • 名前:namake_taio 投稿日:2017/09/18(月) at 08:51:19 ID:705018795 返信

      たいが さん

      どうも、はじめまして。
      外国課税分は払った金額が還付されるものならいいんですけど、
      申告の手順も含めて使い勝手が悪い感じがします。
      無職だと年金免除への影響や、国保が上がったりして。
      今後は所得税は申告して、住民税は申告不要制度を使用という組み合わせも可能にすれば云々んという話はありますが。
      社会保険料の話もあってケースバイケースだと思っています。
      ここまで書いててアレですが税金の話はあまり好きじゃないので、このへんで(笑)

      NISAは5年の年限が本当にダメですね~
      株を買わせるきっかけにしたいけど、税収はあまり減らしたくないのでしょうね。

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